はじめに
圏論に最短で入門する - 俺の Colimit を越えてゆけ の中で以下のように書きました。
数学にもともと興味があって数学科に進学した学生でも、大学以降で学ぶ数学についていけなくて挫折してしまう人は多いようです。私の考えでは、
- 大学受験までの計算主体の数学から、大学以降の証明主体の数学への移行を明確に意識させること
- 移行のためのトレーニングを積ませること
を学生が認識できる形で教育機会として大学が提供できていないことが原因なのではないかと考えています。
このブログを初めて以来、何人かの学生の方から数学の学習について相談を受けています。彼らと話をしているとどうも証明主体の数学の勉強を進める上での基礎が十分ではないように感じます。結果、数学の勉強の進め方、勉強の仕方に問題を抱えているように感じました。
私も数学の勉強を始めた当初は同じ問題を抱えていました。当時私が感じていた問題は次ようのなものです。
- 何度も教科書を読み返して内容を記憶しようとはするのだけど、単なる暗記になってしまっていて理解した気になれない
- 証明を読んでもその証明が本当に正しいのか自分で検証することができない
- 練習問題を自分で解くことができないので、ほとんどの練習問題は解かずに飛ばし読みしてしまう
- 練習問題を解いてみても、解答がないあるいは解答が一語一句自分の証明と一致していないと自分の証明が合っているのかどうか確信がもてない
大学の証明主体の数学に触れて、私と同じような問題を感じている人は多いのではないでしょうか。大学院に進みたいと思っていても、このような状態だと院試に合格できるかどうかも不安ですよね。
私もしばらくはこのような問題を感じながら勉強を続けていたのですが、あるきっかけによってこの問題を解決し、その後圏論を理解できる程度にまで数学を独学することができるようになりました。Steve Awodey の Category Theory を読む - 俺の Colimit を越えてゆけ を見ていただければ、教科書やネットの他のサイトには載っていない詳細な証明がなされているのが確認できると思います。それらの証明は私が自分で考えて構成したものであり、その正しさについても 100% 確信して書いています。みなさんにも私と同程度の能力を身につけてもらいたいと思っています。
そこで、昔の私と同じ問題を抱えている人に私の経験を伝えるために数学の個別指導を始めようと思います。一人でも多くの数学徒が数学の学習に関しての不安を解消し、数学を楽しめるようになることの一助になれれば幸いです。個別指導を始めようと思った一番の理由は、いよいよ私の貯金残高がやばくなってきたからです
個別指導を受けた結果あなたが得られるもの
突然ですが問題です。
ここに白いボールだけが入った袋があります。この袋から任意に一つボールを取り出した時、そのボールが白いことを証明しなさい。
問題を読んで何をしたらいいのかわからなかった人、あるいは、わかった風を装おうとして「定義より明らかだろjk」と思った人は私の個別指導を受けると学ぶところがあると思います。
大学数学の教科書では、定義や定理は上の問題のように自然言語で記述されています。数学の学習を進める際には、自然言語で書かれた定義や定理を論理式として表現し、許された手順のみを用いて具体的に証明を構成する必要があります。上の問題を読んで何をすればいいのかわからなかった人、「定義より明らかだろ」で済まそうとした人は数学書を読んでいる時にも、この必要な手順をこなさずにあたかも小説を読むかのように数学書を読んでいる可能性があります。
私の個別指導では、自然言語で書かれた定義や定理を論理式として表現し、許された手順のみを用いて具体的に証明を構成する能力を身につけるための指導をします。能力が身につけば、上の問題も実際に証明することができるようになります。
内容
はじめに基礎的な講義を行います。その後に、松坂の集合・位相入門もしくは代数系入門を用いて、定義、定理の証明、練習問題などを一つずつ証明しながら読み進めます。
書籍を通読することが目的ではなく、読むことを通して上の能力を身につけることが目的です。週 1 回、2–3 時間の講義で 6 ヶ月程度講義を受けてもらえば、上の能力は身につくと思います。
- 作者: 松坂和夫
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受講するかどうか悩んでいる人へ
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詳細
対象
大学数学を先取りしたい高校生・大学生・社会人
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基本は京都市内の図書館やカフェ、セミナールームの予定です。
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時給
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連絡先
メールアドレス: takuya.0101 at gmail.com
補足
私は数学の研究者や数学科卒ではありません。私の最終学歴は東京大学情報理工学系研究科創造情報学専攻修士で、コンピュータ系の人です。
コンピュータ科学の研究に必要性を感じて数学の勉強を 30 歳を超えてから開始し、大学数学の学習時間は 5000 時間程度だと思います。よって、数学の特定の分野に関する専門知識を要求されても困ります。あくまでも、初心者よりは少しだけ数学の素養があるおじさんだと考えてください。