はじめに
前回の記事では、圏論を学習する上では数学の基礎から学習する必要があると述べました。
一方で、そんなに時間をかけていられない、かけられないといった理由から数学の素養が十分に身についていない状態で Category Theory (Oxford Logic Guides) を読み始めたいという人もいるでしょう。そのような人向けにこの本の副読本のような内容の記事を書いていこうと思います。
この本は十分にわかりやすい本なので解説の部分で内容を追加するようなことはしません。書籍の中で証明はされているけれども十分に明らかとは言えない箇所や、残りは読者に任せるとして省略されている箇所を中心に証明を追加していこうと思います。特に Chapter 1 では数学書を読む場合に自分で手を動かして補いながら読まないといけない箇所がどういう箇所なのか初学者にもわかるように書いていこうと思います。
この記事が、これから独学で圏論を勉強しようとしている人や、勉強会でこの本を読もうとしている人の役に立てば嬉しいです。Texの入力に時間がかかるので更新はあまり早くできません。生暖かく見守ってください。目次は記事を書き次第アップデートしていきます。すべて書き終わりました。
私が読んでいるのは英語の第2版ですがいくつか誤植があるので下に書いておきます。著者には報告済みなので第3版が出れば修正されるでしょう。
目次
errata list
page 27 line -5
to
page 63 line 1
to
page 63 line -3
to
page 67 line -3
to
page 68 line 3
(i.e., the images の閉じ括弧が無い
page 71 line 5
to or
page 99 line 3
example 5.9 to example 5.7
page 104 line -12
to
page 116 Exercise 8
圏 は厳密には圏にならないと思います。なぜなら pullback は up to isomorphism でのみ決まり、arrow の合成は結合則を満たさないからです。
後の章で出てくる skeltal category であるという条件を付け加えれば圏になります。
page 124 line -10
2番目のdiagramの右下の角 to
page 147 line -1
"and " に対して開き括弧が無い
page 156 line 2
と の間に空白を追加
page 162 line -1
to
page 163 line 2
to
page 167 line -13
to
to
to
書籍の p.18 などを見てみると、monoid や group の積は左から右の順に書いています。一方で、arrow の結合は右から左の順に書いています。
monoid や group を一点集合上の圏とした場合に、結合の順序が逆になります。
これは次の p.168 の 7.8 Monoidal categories 内の の定義における の箇所でも問題になります。
の使用法次第なのですが、p.169 において に対して と書いていることをみると、 は monoid や group の積と同様に左から右の順で使用することを想定しているように思われます。arrow の結合は一貫して右から左の順に書いているので、ここでは が正しい定義です。
page 169 line -3
to
page 183 line -5
to
page 188 line -2
to
page 189 line -7
to
page 192 line -2
"For, given objects in , if " to "For, given objects in , if "
page 197 line 5, line -5, line -3
cocone を記述する際には P.166 で定義した constant valued functor を使用したほうが一貫性があります。
to
to
to
page 198 line 6
to
page 198 line 17
to
page 220 line 12
もし dual image function をテキストのように定義すると が の開集合の時、 は必ずしも の開集合になりません。
よって は の right adjoint にはなり得ません。
では にあるように以下の定義に変えたらどうなるでしょうか?
\[f_{\ast}(U) = \bigcup \left\{ V \in \mathcal{O}(B) \,\middle|\, f^{-1}(V) \subseteq U \right\}\]
依然問題があります。この定義では確かに が の開集合の時、 は の開集合になります。
さらに は の right adjoint となります。
しかし今度は の right adjoint になりません。
page 221 line 10
to
page 224 Figure 9.1
to
page 225 line 3
\[\frac{\phi(x) \leq \psi(x,y)}{\phi(x) \leq \forall y.\psi(x,y)}\] to \[\frac{\phi(x) \vdash \psi(x,y)}{\phi(x) \vdash \forall y.\psi(x,y)}\]
page 229 line -5
to
page 230 line 9
単なる定義の置き換えなので、 を で置き換え可能です。
to
page 232 line 2
以下のように置き換えたほうが、本書の他の箇所との一貫性が高まります。
\[\frac{\vartheta_{j} \colon B_{j} \to A}{(\vartheta_{j}) \colon \sum_{j} B_{j} \to A}\]
to
\[\frac{(\vartheta_{j}) \colon \sum_{j} B_{j} \to A}{\vartheta_{j} \colon B_{j} \to A}\]
page 235 line 14, line 15
to
page 236 line 2
以下のように置き換えたほうが、本書の他の箇所との一貫性が高まります。
\[
\frac{Y \to \textstyle{\prod_{F}}(p)}{F^{*}Y \to p}
\]
to
\[
\frac{F^{*}Y \to p}{Y \to \textstyle{\prod_{F}}(p)}
\]
page 237 line 2
to
page 239 line 17
The definition of the solution set condition is incorrect.
To apply Lemma 9.30 in the proof of theorem 9.29, both and must be sets.
You can see the correct definition of the solution set condition on nLab.
page 240 line 2
to
page 242 line 12
"For complete posets , ," to
"For cocomplete posets , ,"
page 251 line -7
(a) to (c)
page 254 line -11
to
page 256 line -3
"the following square in " to
"the following square in "
page 257 line -4
to
page 258 line 1
" " to
" "
page 262 line -1
to
page 263 line -7
"every monoid arises from some adjunction." to
"every monad arises from some adjunction."
page 276 line 13
to
page 276 line -11
to
page 283 line -14
to
page 288 line 17
to
page 291 line 6
" over " to
" over "
page 292 line 9
"6. Here we consider " to
"7. Here we consider "
page 292 line -4
to
page 295 line 12
" and be given." to " and be given."
参考書籍
Category Theory (Oxford Logic Guides)
- 作者: Steve Awodey
- 出版社/メーカー: Oxford University Press, U.S.A.
- 発売日: 2010/08/13
- メディア: ペーパーバック
- 購入: 2人 クリック: 43回
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- 作者: スティーブアウディ,Steve Awodey,前原和寿
- 出版社/メーカー: 共立出版
- 発売日: 2015/09/19
- メディア: 単行本
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